転職ノウハウ

面接準備で勝負が決まる。スキルよりも大事な組織研究のコツ

2025.01.20 転職ノウハウ

昨今、一社に生涯勤め上げるようなキャリアパスは見直され始め、若いうちから自身を高められる環境を求めて「転職」という選択肢を誰もが当たり前に持つようになりました。

ただ一方でいざ転職となった時、若手ビジネスパーソンにとって面接をどう攻略するのかは大きな問題ではないでしょうか。

今回はありきたりな質問・回答例ではなく、キャリアアップ志向の若手転職者に期待されている意外な「素養」を起点に、ライバル候補者と一歩差をつける準備の仕方について解説します。

若手転職者が面接で評価される意外なポイントとは?

「業務内容」「転職理由」を押さえて最も重要視されていたのは〇〇

2022年に発表された「20代中途採用における選考のポイント」に関するレポートによると、企業の人事担当者を対象にしたアンケートでは、面接時に評価するポイントとして、スキルや経験よりも「人柄や社風との相性」を重視する傾向が明らかになりました。

参考:株式会社学情,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000901.000013485.html

これは意外な結果だったのではないでしょうか。
でも言われてみると納得感がある、そんな方もいるかもしれません。

こちらをマクロ観点で紐解いていくと、「人柄・社風との相性」つまり、カルチャーマッチを重視し始めた背景として象徴的な2つの要因が見えてきます。

1つ目はビジネス環境の変化が早く、不確実性が高まっている現状にあります。このような環境下では単に現時点での必要スキル要件に合致すること以上に、人間としてより基礎的な部分が会社の方向性と合致する人材を採用することで、採用後の定着が早まると同時に組織の適応力が向上すると期待されているためです。

2つ目は、ブランド価値の重要性が以前にも増して高まっていることです。ブランド価値と聞くと一見、採用とは無関係なように感じるかもしれませんが、企業のブランディングを成功させるには、社内向けにカルチャー浸透施策(インナーブランディング)が不可欠な時代になりました。つまりカルチャーマッチを重要視することを通じて、従業員が企業ブランドを体現できることが求められているのです。

これらの二つの理由から、企業の人事がスキルや経験よりも「人柄や社風との相性」を重視する傾向にあると考えられます。

若手中途が実務スキルより重視される「カルチャーマッチ」の真意

ここで大前提としてカルチャーマッチとは、単に「雰囲気が合う」という漠然としたものではありません。企業が大切にする企業理念や行動指針、働き方のスタンスなどが合致することを意味しています。

具体的には、仕事への取り組み方、チームでの協力体制、意思決定のスピード、コミュニケーションスタイルなど、日々の業務における「仕事の進め方」の相性を指すと理解してください。特に若手の場合、スキルに関しては発展途上なので、それ以上に企業のカルチャーと適応しながら強固な関係を築けるかどうかが重要視されるということなのです。

新卒採用と異なるアプローチの背景と準備の肝

新卒採用と中途採用では、当然採用の目的や評価基準が異なりますが、ではどのように面接のアプローチ方法が変わってくるのか、その対策についても考えてみましょう。

新卒採用は「ポテンシャル採用」となるケースがほとんどです。このため、学生の将来性や表面的な印象、地頭力といった要素が評価される傾向があります。また、一定数のミスマッチを見越して、多めに採用する企業も少なくありません。

一方、中途採用ではスキルや経験が重視されるイメージがありますが、実際には「カルチャーマッチ」が非常に重要視されます。即戦力としての採用である以上、一定の経験職種は問われるものの、転職後に企業の理念や行動指針に沿ってスムーズに活躍できるかどうかが鍵になるのです。スキルが優れていても、組織の文化に適応できない場合、長期的な活躍が難しくなることは想像に容易いでしょう。

そのため、新卒採用では「成長可能性」や「ポテンシャル」をアピールできる受け答えが重要となる一方、若手の中途採用では「価値観の一致」や「行動基準への適応」を仄めかす回答が求められます。それぞれの採用目的を汲み取った上で、面接時のどの時点・どのタイミングでカルチャー相性の領域に踏み込むのかを想定しておくことが肝要となります。

カルチャーマッチを見極める上での“よくある質問例”と“抑えるべきポイント”

「マルチフォーカスモデル」は、オランダのホフステード博士が開発した組織文化の診断ツールです。このモデルでは、企業のカルチャーを8つの次元で分析し、視覚化することで、その組織特有の文化を明らかにします。これにより、応募者と企業のカルチャーマッチを定量的に評価できるのが特徴です。

このモデルを活用することで、企業は自社の文化を具体的に把握し、人材採用の場での基準として活用しています。

求職者にとっては、企業がどのような観点でカルチャーマッチを見極めているのかを理解する助けになります。

切り口分析内容
6つの独立した次元組織の効果性手段重視か、目標重視か
顧客志向のあり方内部論理か、顧客優先か
仕事の進め方規律は厳格か、ゆるやかか
組織の関心のあり方職場の関心は、上司か専門性か
組織外との関わり方オープンか、クローズドか
マネジメントの哲学従業員志向か、仕事志向か
半独立の2つの次元リーダーシップの受容度
人と組織の一体感
(出典)https://hofstede.jp/organizational-culture/をもとに筆者作成

カルチャーマッチを見極める時によく使われる質問

  • 成果を上げるために、プロセスと結果のどちらを重視しますか?
  • 自分の裁量で進める際、どの程度の自由が理想ですか?
  • あなたの仕事の評価基準として、上司の意見と専門性、どちらを重視しますか?
  • 当社の価値観の中で、最も共感できる内容は何ですか?
  • 普段チームでプロジェクトに取り組む際、あなたはどのような役割を担っていますか?
  • あなたの理想的なリーダー像はどのようなものですか?
  • チームと個人の成果、どちらを優先しますか?

回答の時のポイント

1. 素直に答える
カルチャーマッチを見極める質問は、企業があなたを組織に迎え入れるだけでなく、早期に活躍できるかどうかを確認するためのものです。また、同時にあなた自身がその企業の価値観や求める人物像と合うかどうかを判断するための機会でもあります。

転職のゴールは「入社すること」ではなく、「入社後に活躍し、その先のキャリアにつなげること」です。そのため、偽らずに正直に答えることが大切です。自分の本音を伝えることで、お互いにとってより良い選択ができるでしょう。

2. 実例を挙げる。
企業との相性をアピールする際は、具体的な実例を挙げると効果的です。人事担当者にとって、候補者が企業文化にマッチしているかどうかを判断するのは簡単ではありません。そのため、あなたの人柄や価値観が分かるようなエピソードを準備しておくと良いでしょう。

例えば、 チームワークを大事にして働きたい点をアピールする場合「以前の職場で、業務改善プロジェクトに取り組んだ際に、周囲の意見を積極的に取り入れながら全員が納得できる形で解決策を見つけた。また反対意見が出た時には、その人に向き合って説得しにいく過程にやりがいを感じた。」など、自分がどのようにチームに貢献したのか、またその過程での考え方や行動を具体的に伝えることができます。

さらに、 「企業が掲げる理念や価値観に共感した理由と、それをどう行動で表現してきたか」 を絡めて話すと、より説得力が増します。

面接に向けて、志望企業カルチャーとの相性を知るためには

1. 業界/商材から紐解く

まずは業界や商材から、企業のカルチャーとの相性を考えてみましょう。その企業が提供する商品やサービスによって、リスクへの考え方やビジネスモデルに基づく商習慣が異なります。企業が発信する「見てもらいたいイメージ」ではなく、実際に起こりうる「現実の姿」を構造的に分析することで、その企業特有のカルチャー傾向を見つける手がかりになります。

典型的な例をあげるとすれば、金融業界は市場トレンドの変化が緩やかなため、意思決定が慎重になる傾向があります。また、顧客の大きなお金を扱うため、仕事の正確性が求められます。そのため、安定性や慎重性に優れたカルチャーの会社が多いです。

一方、IT業界は市場トレンドの変化が急速なため、意思決定において、正確性よりも速度感が求められます。そのため、柔軟な対応が求められます。そのため、適応力や馬力に優れたカルチャーの会社が多い傾向にあります。

ただし、業界や商材だけでその企業のカルチャーを決めつけるのは早計です。あくまで参考としての「相場感」を持つことが大切です。その上で、もし業界の常識とは真逆の取り組みをしている場合、それがむしろその企業の本当のカルチャーを表している可能性があることを意識しておきましょう。

2. 求人票から紐解く

①「必須要件・歓迎要件」から紐解く

専門性重視型

・特徴:具体的なスキルや資格の要求が多い
・文化:成果主義、プロフェッショナリズム重視
・求められる姿勢:自己研鑽、専門性の追求

ポテンシャル重視型

・特徴:基本的なスキルと人物面の要求が中心
・文化:チーム志向、柔軟性重視
・求められる姿勢:学習意欲、適応力

「求める人物像」から紐解く

・「自発的に行動できる人」→ 自主性・主体性を重視する文化
・「チームワークを重視する人」→ 協調性・共創を重視する文化
・「挑戦を恐れない人」→ イノベーション・変革を重視する文化

3. 転職エージェントを活用する

転職エージェントを活用するのも効果的な方法です。エージェントは企業の採用担当者と直接やり取りを行い、事業や組織の状況、求める人物像について詳しい情報を持っています。

また、求職者の価値観や特性を理解した上で、それに合った企業を紹介してくれるため、単なる情報収集の場としてだけでなく、新しい視点を得る手段としても活用できます。自己分析のサポートを通して、自身がマッチするカルチャーを知ったり、企業選びの視野を広げたりするためにも、転職エージェントを上手に活用することをおすすめします。

転職エージェントの活用で面接対策はここまで変わる

転職活動の成功のカギを握るのが「面接」です。あなたのこれまでの経験やスキルを最大限にアピールし、企業が求める人材像と一致させることができれば、内定への道はぐっと近づきます。

その上で、転職エージェントを活用すれば、面接対策はどこまで変わるのか?企業の「翻訳家」としての本来の役割から、市場価値を見極めるプロの視点まで、具体的にどのように転職エージェントを活用するべきなのか、を解説していきます。

転職エージェントの本来役割は企業の翻訳家

一般的に、転職エージェントは求人を紹介してくれたり、書類の添削をしてもらえるという認識がありますが、本来の役割は「企業の翻訳家」です。

ビジネス環境や企業のニーズは日々変化する昨今、こうした変化をリアルタイムで把握し、企業がいま必要としているスキルや資質を知るためには、転職エージェントを活用すべきです。

転職エージェントは、これら情報を基に、求職者の魅力を最大限に引き出す書類選考や面接対策を行ってくれます。

プロはこう分析する、あなたの市場価値3つの軸

市場価値を見極めるうえで重要な3つの軸があります。それは「スキル」「経験」、そして見落とされがちな「相性」です。

スキルや経験は、これまで培ってきた知識や実績を測る指標で、転職市場でもわかりやすい評価軸。また、実務能力や実績だけでなく、企業文化との「相性」も重要な評価ポイントです。この見落としがちな相性を丁寧に分析するのがプロの仕事。転職活動において、あなたの市場価値を総合的に把握し、それを企業に的確にアピールできるようサポートします。

3つの軸を知れば、自分の市場価値が明確になります。あなたの強みを最大限に活かしましょう。

内定実績から見える。カルチャーマッチの重要性

キャリアアップを目指す若手ハイキャリア人材にとって、「組織研究」は成功の鍵です。GOALSは、単なる条件マッチングではなく、価値観やポテンシャルを基に、求人票では見えない企業文化や成長戦略まで深掘り。あなたの「Will」「Can」「Must」を徹底的に分析し、長期的な満足度を重視した最適なマッチングを実現します。さらに、内定獲得だけでなく入社後の活躍に焦点を当てる独自メソッドで、新たな選択肢との出会いやキャリア形成をサポートしています。

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宝来岳
執筆者
宝来岳

バンクーバー留学中に留学業界の情報の非対称性を解消するプラットフォームサービスを代表として立ち上げを経験。その後、デジタルマーケティングやデザイン業務を従事していく中で、セブンデックスの事業領域やカルチャーに共感し、インターンとして入社。日本大学商学部マーケティングコース在籍。